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石橋雅史の万歩計

負けるわけにゃいきまっせんばい! 110

 <平常心>

 しかし、これも平常心がなければ、なかなか出来ることじゃありませんよね。ではその平常心は何処から生まれるのかと言えば、それはやっぱりその人の自信でしょう。自信は何処からと言えば、人生の中でいろんな事に触れてよく知ること。知ってしまえば人間なんていうのはみんな五十歩百歩ですよ。つまり少しの違いはあっても、根本的には大差はないということです。ま、その中で、何かひとつでいいから、これだけは絶対人に負けないぞ、なんていうものを持っていたら、これは凄いじゃありませんか。
 私、学生時代、それに俳優の傍ら、空手という武道を大分永くやっていまして、時々、昇段審査会に審査員としてお付き合いすることがあるのですが、その時、受審者の皆さんにいつも言うんです。平常心を持てることも実力のうちだよって。
 よく若い人が言います。「いやあ、あがってしまって、全然実力が出せなかった」って。引率して来た道場の責任者の方たちも言います。「うちの道場でやってる時はいいんですけど」って。しかし肝心な時に、ちゃんと表現できなかったら、何も持っていないのと同じですものね。そんなものは誰も認めないし、世の中では通用しません。芝居の世界でも、楽屋では人一倍面白いけど、舞台でお客さんの前に立ったら全然駄目なんだよねって言われる人がいます。
 審査の少し前だけ、一所懸命に練習してくる人がほとんどですが、すぐにボロが出ます。全体の流れがばらばら(自信がないから、平常心が保てない)。ケレンばかりが多い(何とかごまかして、よく見せようとするばかりで実がない)。
 例えば、私たちが食事をするのに、子供のときから何十年も、毎日、毎日、三度、三度箸を使っていたら、それこそ目を瞑っていても、箸で食べ物を口に持っていけるようになりますよね――、 修練とは、それによく似ているわけでして、積み重ねですから。失敗してはやり直し、また失敗してはやり直す。この努力が実を結ぶのであって、習うよりは慣れろですよ。頭だけじゃなくて、身体で覚えることです。それと今まで自分で気がつかなかったいいものを見つけたら積極的に真似してみることです。模倣は創造の始まりって言うじゃありませんか。そういう努力を重ねることによって、最終的には、誰にもない、その人にしかない個性も生まれてくるというもので、それは自信となり、平常心に繋がっていくのです。何事も努力。天才も九分の努力って言いますよね。
 昨今では、スプーンやフォークをよく使いますから、箸の持ち方、使い方を苦手とする方もいらっしゃるようですけど、ま、箸はたとえ話ですから、あまり気になさらないように。
by masashi-ishibashi | 2008-10-07 12:57
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俳優石橋雅史ぶらぶら日記

by masashi-ishibashi
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