負けるわけにゃいきまっせんばい! 65
昭和四十八年(1973)この時の現象も、まさにそのひとつの表れと言えるでしょう。日本に上陸した香港映画の「燃えよドラゴン」。最初、東映に売り込んできたのを、以前に、武術アクション映画があまり当たらなかったからか、または、たかが香港映画なんかなどと思ったかどうか、ことの真偽は私などに分かりませんが、とにかく東映はこれを買わなかったらしいんです。それを松竹が買った。ところがこの映画、ストーリーはただ単に、妹を犯された一人の男(ブルース・リー演じる)が、カンフーという空手に似た武術を使って、悪の組織に単身で潜入して戦い、復讐を遂げるという、単純なアクション映画なのですが。そのエフェクト(効果音)、例えば技を繰り出す時の、風を切る音と言えばよいのか、空気を裂くような音。骨が折れる時の、ミシッ! ボキッ!という音など、それに音楽。アクションの撮り方。カメラアングル。被写体のサイズなどが相俟って、その意表を衝いた創り方は、人々の、日ごろ鬱積している情緒を解放し、精神浄化作用に繋がって、あの爆発的な大ヒットとなったのではないでしょうか。つまりカタルシスの効用ですか。
慌てたのは大魚を取り逃がした東映です。映画は斜陽の一途を辿って、〈任侠路線〉は廃り、〈仁義なき戦い〉シリーズも終わって、〈トラック野郎〉も長続きせず、遂に、ポルノ映画を撮って、メインと併映するまでに底を尽いていたのですから。 空手と言えば、日本が本家本元じゃないか、指を銜えてる場合か! おらが社で作らずに何とする! てなもんですよ。 と言ったわけで、シナリオライターの高田宏治さん、鳥居元広さんたちのご尽力と言いますか、ご奮闘により、武術アクション映画、つまり、本格的な東映空手映画の第一作、「激突・殺人拳!」のシナリオが出来上がったのです。
by masashi-ishibashi
| 2008-08-03 14:20
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