負けるわけにゃいきまっせんばい! 53
この第一回目は二部制で、一本は番匠谷英一訳、石原慎太郎潤色、松浦竹夫演出、中山仁主演「若きハイデルベルヒ」(役名・貴族一、学生ゼッペル)。もう一本が、三島由紀夫作、松浦竹夫演出、丸山明宏・天知茂主演「黒蜥蝪」(役名・刑事D)。もっとも、商業演劇というスターシステムの中で、当時の私など看板になろうはずもなく、ご覧のようにろくな役ではありません。事務所(この頃、A&Aプロモーションから、天知茂プロダクションと名称が変わっていました)が天知さんにくっつけて、出演させてくれただけのことです。それでも、舞台出身の私としては、これもひとつのきっかけになればと、ひそかに助平根性を胸に秘めての出演でした。
劇団を辞めた後、これまでの間にも、何本かテレビのゲストやセミレギュラーなどをやってはきましたが、俳優として、日の当たる足がかりにはならなかった。時流もあるでしょうが、それをモノに出来なかった自分にも、大いに問題があったであろうことを、思い合わせてみるとき、どんなに小さなことでも、自分から求めてチャンスを作らなければ、棚から牡丹餅など何処にもないことを肝に銘じて。 この路線は何本か続き(勿論、主演はすべて丸山明宏さん)、その中の、昭和四十三(1968)名古屋の御園座八月公演「黒蜥蜴」(作、演出、役名、同じ)。昭和四十四年(1969)東横劇場二月公演、榎本滋民作、松浦竹夫演出、「マタハリ」(役名・ジャワ島土民兵アヨディア、銃殺分隊長アンドレ)。同年(1969)大阪、新歌舞伎座七月、丸山明宏大阪初公演、丸山明宏潤色、松浦竹夫演出「椿姫」(役名・夜会の客ルイ)、「黒蜥蜴」(作、演出は同じ。この時より役名が用心棒原口に変わる)。といった流れの中で、「黒蜥蜴」の京都南座公演。また長崎旅公演などと、出演させていただきまして、役もそれなりにちょっと面白い少しばかりいい役になりましたが、それはそれだけのものでして、商業ペースの中で、俳優としてまた商品として、業界が認めてくれたわけではさらさらなく、自分で勝手に錯覚を起こし、自己満足をしているだけのこと。人様は何とも思ってなどいないのです。主役や準主役などのメインキャストはともかく、脇の役は、ただプロダクションの売込みで集められた座組みの中から、その人の柄など見合わせて、振り分けられたキャスティングに過ぎないのに、私など馬鹿ですからすぐに喜びます。
by masashi-ishibashi
| 2008-07-17 12:26
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