負けるわけにゃいきまっせんばい! 49
時も時、仲間という劇団の制作部にいたA氏が劇団を辞めて、制作とタレントエージェンシーを兼ねた、芸能プロダクションを作りたいと言ってるけど、参加してはどうかと勧めてくれ、マスコミの世界に道をつけてくれたのも、そのマネージャー氏でして、彼や彼女が現在どうしているのか、まったく消息を知らないでおりますが、本当にありがたく思っています。
その新しく作られたプロダクションS社は、土方弘、阿部寿美子などと、集まった俳優たちも新劇出身が多くて、これは話も合うのじゃないかと思っていましたが、表面はともかく、ここはもうすでに個々の世界であります。同じプロダクションに所属はしていても、めったに顔を合わせるわけではなし、マネージャーが、テレビ局の制作部や演出部へ出かけて行って、出演交渉が成立すれば、俳優はそれぞれに台本を貰って、局に出向き、衣装合わせ、時代劇でのかつら合わせ、リハーサル、そして本番といった具合で、個々に現場へ行って、他流試合をやってくるのであります(今ではほとんどが、キー局の下請けになってる制作会社、例えば東映テレビプロダクションとか、大映テレビとか、東宝テレビと、他にも沢山ありますけど。映画も似ています)。事務所は基地というか、センターみたいなものですね。かといってそこへ帰還したところで、別に人間的な温もりがあるわけでもなく、大変ビジネス・ライクな所なのであります。電話で出演依頼を受け、事務所へ台本を取りに行き、テレビ局へ行って仕事をする。そして月に一回の出演料支払い日に、また事務所へ出かけて行って、マージン10%、源泉税10%、合計20%を出演料から差し引き、残り80%を貰って帰ってくるだけの繰り返し(現在は、手取りのパーセンテージが随分少なくなっています)。しかしまあ、これから新しく、いろいろな人たちとの繋がりを大切にして、仕事の基盤を固め広げていかなければいけない、と思ったのもつかの間、まだろくに仕事もしないうちに、事務所が制作費の不渡りを食らって、一年ほどでパンク。当然のこと俳優陣もあおりを食って、またもや根無し草の流浪の民。手元に残ったのは、未払いのギャラと深刻な不安のみ。しかし、誰しも生きていくためには必死であります。社長のA氏にしても、劇団は辞めましたは、事業には失敗しましたはじゃ洒落にもなりません。そこでA氏も一念発起、失敗した制作の方は切り捨てて、タレントエージェンシーだけでも、もう一度やり直したいから、みんなも協力してくれないだろうかとの懇願。勿論、俳優たちも、それで立ち直れるのならお互いに幸せと、取りはぐれた出演料もチャラにして、さあ再出発ということに一件落着。ほんのちょっとばかり希望が見えてきましたが、さて、肝心なデスクワークをする事務所がありません。小さな事務所を借りるお金すら無い、すってんてんのオケラだったんです。
by masashi-ishibashi
| 2008-07-12 18:34
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