負けるわけにゃいきまっせんばい! 46
それともうひとつ、長い間じっと周りのいろんな劇団を観察し、押し詰めて見ていますと、毎年、研究生こそ募集しますが、結局はほとんどの劇団が、創立メンバー一代のもののような気がします。若くて負担にならない兵隊なら、労働力としていてくれれば助かるし、育てて行くうちに、たまには当たりもありますから。つまり次の時代へ向かっての可能性の問題です。私のように、三十二歳にもなる無名の俳優なんか、最初から避けておいた方が、変に気持ちの負担にならなくて無難です。もし私が採用する立場だったら、私もきっとそうしたと思います。
だからこれでいいのです。再び既成の劇団に入り、永久就職をしたような錯覚を起こして芝居をするという、甘ったれた過ちを犯そうとしていることに、やっと気がついたのです。 何のために、八年間もいた劇団を辞めたのか、自分でも本当の意味がはっきりしていなかった。ただ、このままでは駄目になるという、曖昧模糊とした中での、本能的直感だけが、情緒不安定に駆り立てていて、はっきりした分析が出来ていなかったのです。その人が持っている、才能とか資質がどうしても欲しくて、是非にと乞われて行くのなら分かります。そんなものも認められていないのに、もう一度、自分を考えてみろってなもんです。 人間、究極は独りですよ。その人という個に代わりはありません。そしてその一人一人の個性がぶつかり合って、ひとつの創造物が生まれる。ものを創る時に無駄なものはいりません。必要なものだけあればいいんです。たとえ一見無駄なように見えても、必ず必要性があります。だからこそ。個々の存在価値が生まれてくるのです。 そこで視点を新たに、今までの劇団制による演劇活動の形態を、頭の中から払拭しまして、一匹狼になり、なんとしても頑張ってみせるぞッ――、と改めて意を決したのであります。 いやあ、ここまで説明するのに、随分長くかかりましたね、私もくたびれましたよ。
by masashi-ishibashi
| 2008-07-09 12:25
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