負けるわけにゃいきまっせんばい! 31
とにかく現地入りしたとたんに、トラックから大道具、小道具、衣裳笊籠(行李)、音響効果機器、照明器具等を担ぎ下ろして、早速舞台の仕込みにかかります。一応の形が出来上がったところで、にわか拵えの楽屋(ほとんどが仮設でした)に入り(もうその時は汗だくのほこりまみれ)メークアップをして衣裳をつけ、それからやっと舞台に立つ気持ちに切り替える。何度も言うようですけど本当にもう戦争。それだってどうしても手が足りない時は、扮装をしたままガチ袋(大工さんが腰にぶら下げてる、釘とか鎹が入ってる袋)をぶら下げて、トンカチを持って駆け回り、幕間の舞台転換を敢行、そのまま舞台に出て芝居をやる、なんて芸当もこなさなければならないのですからもう大変。そのままったって、ガチ袋をぶら下げたまま舞台に出るわけではありませんよ。そうでなくったってしょっちゅうトンチンカンをやらかすんですから。
夜、舞台の終演と同時に今度は搬出です。大道具をバラし、衣裳、小道具を笊籠に詰め込み、その他諸々を集めて、搬入とは逆の順序でえっさえっさとトラックに積み込んで、次の公演地へ送り出す。私などは下っ端ですから、他の何人かの仲間と順番を決めて、毎回一人ずつ交代でトラックの上乗り(積荷の管理上、運搬中の荷物と一緒に乗っていくこと)をさせられるんです。これが現在のように、整備された自動車道路なんてないんですから(高速自動車道も含めて)。でこぼこで九十九折りの山道、海沿いの街道、揺られ揉まれて旅がらす、道中合羽に三度笠、ほこりまみれの雅兄ィ、次の宿に着く頃はもうぐったりしちゃって、我が魂はいずこの空を飛びおらむ、いつの間にやら白河夜船ってな具合でしてギブアップ。夜中、現地に着いても、現在のようにビジネスホテルに泊めてもらえるわけでもなく、旅館の大部屋に皆で雑魚寝です。しかしこんなことで音を上げていたのでは大物になれない。などと虚勢を張ってやってきた割には大物になってませんけど。 ともあれ、この頃の新劇の旅公演なるものがいかに大変だったか、その一端が少しはお分かりになると思います。
by masashi-ishibashi
| 2008-05-25 14:27
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