石橋雅史の万歩計

負けるわけにゃいきまっせんばい! 104

   武術と映画アクション


 <ほんものと殺陣の違い、そのリアリティー>

 さて、武術と映画アクションについて少しお話しましょうか。アクション映画も現代は、ケレンばかり見せた嘘の多い、いい加減な芝居ではお客さんにアッピールすることは出来ません。また武術が強ければ、ドラマの中でもアクションが上手くて素晴らしいかというと、これまたそうとも限りません。あれは芝居心がなければ駄目ですから――。武術を映画の立ち回りに使うには、あくまでも、まず映画と言う媒体による、ドラマの中でのアクションであるということを前提にして、考えなければなりません。
 どだい武術と言うものは地味なものなんです。それに動きは極端に無駄を省きます。ですから武術としての技のムービメントをそのまま使ったら、映画としては少しも面白くありませんし、またその映画からは、逆にほんのもの迫力も、現実そのもののようには伝わってきません。何と言ったって武術とは省エネの精神なんですから。映画では逆に、あるケレンを上手く取り入れることによって、観客の皆さんが手に汗を握るような、迫力のある殺陣が出来上がるのです。
 つまり実際の武術では、無駄である間とか動きを、意図的に殺陣の中に取り入れ、映像として、その劇中人物の心理を表現させたり、またある仕掛けとか、フレームサイズ、カメラアングル、撮影技法などによって、通常では味わえない、ド迫力を画面に創り上げるんです。
 ここに本物の武術と、映画アクションとの接点を見つける難しさがあります。どlこまで本当の武術を見せ、それでなおかつ映画的な見せ場を創って、お客さんを堪能させるかですね。そこが現実と異なった、よりほんものに見せるための、映画の中での、また舞台の上でのリアリティーというものですが、それもちゃんとした本物の基本が土台にあって、意図的にディフォルメしたものでなければ、映像としてもまるで嘘っぱちな、リアリティーの無い、ただの〝作り物〟になってしまって、観る側の心を打たないという結果になるのです。
 例えば、空手の基本なんてそんなに多くありません。言ってみれば、相手に対して「受ける」「突く」「蹴る」の三つの技を中心にして組み合わせ、守りそして攻めるわけですから。勿論その「受け」「突き」「蹴り」をもう少し細かく分ければ、いろんな「受け方」「突き方」「蹴り方」があり、「当て」「打ち」「関節の逆技」「投げ技」まで出てきますが、空手道の教範本ではありませんので、ここで図解してお見せするのも、とんでもない寄り道ですし、この本の上で、私が演武してお見せすることも出来ませんが。いやいや与太を言ってる場合じゃありません。とにかく、それらの基本の上に、そのバリエーションとして、素晴らしい見た目に華麗な、神秘的とさえ見える、創られた技が出てくるわけです。
 また、映画などで、敵と対峙したした時に、よく誰某が編み出した、〝何々の構え〟などというのがありますが、これも一種の格好よさを見せる、視覚的なケレンでしょう。現実に敵と対峙した時のスタンスは、如何様にも変化できる自然体です。本来、構えというものは、そのものが先に存在するんじゃないのです。相手のいろんな動き、つまり多彩な攻撃によって、「受け技」も「攻め技」も「構えの変化」も無限に出てくるわけでして、それこそ千変万化というものです。空手の「型」は前の項でも述べましたように、各流派に伝わるものを合わせると、約六十以上もあります。そしてその「型」は仮想敵を想定して、攻防あらゆる技が、人体で可能な動作のほとんどを網羅して、組み立てられていると言われています。
 他の武術にしても類似したことが言えます。剣術にしても、柔術にしても、あらゆる古武術でも。
 そして映画では、スポーツ化してルールで統一されたものでない、生きるか死ぬかということで、古来、宗家によって受け継がれ守られてきた、いろんな武術、流派を絡ませた方が面白いですね。
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by masashi-ishibashi | 2008-09-29 13:51
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