石橋雅史の万歩計

負けるわけにゃいきまっせんばい! 51

 よほどの聖人君子でない限り、およそ凡人の本音を正直に露呈すれば、まずは間違いなくわが身が可愛い。いやいや人様だけのことではありませんぞ。私だって、大威張りで紛うことなき凡人でありますから、あまり立派なことは言えませんけど。この世の中、大体が大凡人の集まりでございまして、だから何時もいざこざが絶えないのであります。
 さて一心同体でこのサバイバルゲームを生き抜くぞと、まなじりを決して鬨の声を上げた、われらがマネージャー氏、軒先を借りている間はよかったのですが、同居人となって、毎月決まった給料が貰えるようになったとたんに、あの意気込みは何処へやら、それこそたまに仕事を持ってはくるものの、何が何でもという気迫は消えうせて、無いものは仕方がないじゃない、と開き直る始末。
 事務所が潰れて、みんなの出演料も使い込み、それもチャラにして、みんなで再出発しようと意を決した時は、そんな負け犬の論理では、生きて行けなかった筈だったのが、いくらも経たないうちにこれですからね。それでもここに四年間ご厄介になったんです。
 人脈を持たない無名の俳優の弱みで、この業界に、どこからアクションを起こしたらいいのか見当もつかず、かすかな可能性に賭けて仕事の場をただ待つのみ。人前では笑みを見せて、冗談を言いごまかしてはいても、夜、床に入ってひとりになると、みっともないもので、頭の中は悪い妄想ばかりが次々と膨らんで、神経がぴりぴりと千切れそうに脈打ち、胸から胃の辺りが締め付けられるようで、息苦しくなって顔が引きつる有様。デスクの女性に少しばかりのお金をお情けで貸してもらい、生活費の繋ぎにしたりして。事務所から、出演料の前借をするというのならともかく、そんなものは全く無いのですから、情けない話です。名も無く貧しく美しくなんて、そんなポエジーの世界ではないのです。名も無く伝も無い俳優には、ただ辛抱強く待つことだけしか手段がなく、また俳優は常に独りぼっちで、果てしの無い、精神的な心の放浪を科せられる宿命を持っております。その苦痛の限界を、どこまで耐えられるかどうかなのです。
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by masashi-ishibashi | 2008-07-14 11:56
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俳優石橋雅史ぶらぶら日記
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