石橋雅史の万歩計

負けるわけにゃいきまっせんばい! 32

 一年に大体二回の本公演。それに、全部ではありませんが、再演やらかなり多くの地方公演がありますから、八年間在籍した間に、出演、裏方と、随分多くの舞台を体験しました。昭和三十二年(1957)三好十郎作「その人を知らず」(役名 組合員。俳優座劇場)。昭和三十三年(1958)三好十郎作「浮標」(裏方。 俳優座劇場)。昭和三十三年(1958)三好十郎作「炎の人」(役名 画家シニャック。一ツ橋講堂 芸術祭団体奨励賞受賞)。昭和三十四年(1959)三好十郎作「獅子」、チエホフ作・伊賀山昌三翻案「結婚申込」(裏方。 第一生命ホール)。昭和三十四年(1959)三好十郎作「炎の人」再演(役名 ゴッホの従兄画家モーブ。西日本・東北地方巡演)。昭和三十四年(1959)三好十郎作「冒した者」(裏方。 都市センターホール)。昭和三十五年(1960)山代巴作・寺島アキ子脚色「荷車の歌」(役名 荷車引きの男6。 都市センターホール)。昭和三十五年(1960)アンダースン作「ウインターセット〈冬の終わりに〉」(役名 左翼の男。都市センターホール)。昭和三十六年(1961)小幡欣治作「埠頭」(役名 日雇い港湾労働者テッポー。都市センターホール)。昭和三十六年(1961)山代巴作・寺島アキ子脚色「荷車の歌」再演(役名 荷車引きの男6。東海・関西・西日本・東北・関東地方巡演)。昭和三十六年(1961)山代巴作・寺島アキ子脚色「荷車の歌」再々演(役名 荷車引きの男6。都市センターホール)。昭和三十七年(1962)山代巴作・寺島アキ子脚色「荷車の歌」再々々演(役名  荷車引きの男6。都市センターホール)。昭和三十七年(1962)三好十郎作「炎の人」再々演(役名  ゴッホの従兄画家モーブ。都市センターホール)。昭和三十七年(1962)ハイエルマンス作・久保栄訳「漁船天佑丸」(役名 メエス。都市センターホール)。昭和三十八年(1963)小幡欣治作「埠頭」再演(役名 日雇い港湾労働者テッポー。東海・西日本・東京厚生年金会館・関西巡演)。昭和三十八年(1963)長塚節作・大垣肇脚色「土」(役名 住職。都市センターホール)。昭和三十九年(1964)には「土」の全国巡演などと、本当にいい勉強をさせてもらったと思っています。だから心に残る想い出が一番多いのです。


 <文化座とのお別れ>

 しかし一方翻ってみると、それらのことで、劇団内部のあり方や、芝居の奥が分かってくればくるほど、これまでこれが絶対に正しいと思ってやってきた考え方も、つまるところは、自分の所属する劇団という小さな世界でしかものを見ていなかったようで、芝居創りも勿論そうだし、テレビ出演なんかも、舞台活動のための稼ぎの手段で、アルバイト感覚でやってきた部分が多分にあり、先方に対して本当に失礼極まりなかったと思っています。
 自分のやっていることは絶対に正しいんだと一途になる時期が、若いとき必ず一度はあるように思いますが、何かのきっかけで流れが変わってくると、本能的に違和感を肌で感じ、見えない世界への不安が、とめどなく膨らんでくるものです。私の内にも八年目にして、今まで俺が貧乏に甘んじて、八年間やってきたことは何だったんだろう? このままここに居たら駄目になってしまうんじゃないだろうか? 芝居の世界をもっと広い目で大局的に見る必要がある。そんな状況が、あれほど情熱と愛情を持ってやってきた劇団の中に起き始めていたのです。
 それを契機として幹部の一人が去り、中堅の六、七人が退団して新しく劇団を結成。私などは何の青写真もなく衝動的に飛び出したアホウドリ。
 芝居三昧に明け暮れた八年の歳月は、多くのよき友と青春の想い出を創り、脱退した仲間にも四組のカップルが生まれていました。私たち夫婦もそのうちの一組ですが、いろんな意味で、かけがえのない素晴らしいものを、自分の血肉にして積み重ねたことも紛れのない事実です。
 しかし時の流れとともに、人生は明日を求めて、常に止まることなく流れ続けていくのです。また自分の願望とか意思とはまったく別の方向にも。ある人はそのまま俳優の道を、ある人は画家に、ある人は業界新聞の社主に、ある人はサラリーマンにと。大学時代に同じ演劇学科で学んだ学友たちも、皆そうですけど、人間、必ずいつかは何らかの形というか理由で、別れなければならない時が来るものです。
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by masashi-ishibashi | 2008-05-29 19:23
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俳優石橋雅史ぶらぶら日記
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